第1章 水曜日の淫魔【影山 飛雄】
【おまけ】
「先生!〇〇さん知りませんか!?」
あれから1ヶ月がたった。
昼休みに保健室を覗き込む。
「それなら、さっきまで
ここに居ましたけど、
影山くんを探しに行きましたよ?」
「だぁ、クソッ、すれ違い!」
すぐさま保健室から
離れようとする俺を
先生が呼び止めた。
「ちょっと!影山くん!
聞きたいことがあるんだけど?」
「?」
俺は立ち止まって
保健室の中に入った。
「あの子と付き合ってるって
本当なの?」
「〇〇さんのことスか?」
「ええ。」
「ハイ、付き合ってます。」
「何か脅されたりした
訳じゃないわよね?」
「い、いえ、
彼女の家庭の事情を聞いて…」
確か、先生には
話したって言ってたよな…
「家庭の……?
はぁ……あの子…」
先生は呆れたような顔つきで
額に手を当てている。
「?」
「それって、あれでしょ?
親が再婚で
義父に犯されてるって話でしょう?」
「!!
そうですけど、
あんまり大きい声で言わない方が…」
俺が口を挟み切る前に
「彼女の親…再婚じゃないし、
近所で有名なおしどり夫婦なのよ?」
と先生が信じられないことを口にする。
「…はい?」
「だから、犯されてるっていうのは
ウソなのよ」
「な、………」
(なんだとーーー!?)
俺はまんまと騙されたようだ。
やっぱり、脆い女性なんかじゃなかった!
『あ、こんなところにいた!
飛雄ちゃん!お昼一緒にた〜べよ?』
ひょこっと保健室の入口から
顔を出す〇〇さん。
先生の呆れ顔とおれの放心状態を見て
『あ、もしかして…
バレちゃった??』
焦った様子のない彼女。
だがしかし!
「俺は絶対別れませんからね!」
そうビシッと言い残して
保健室を去った。
……
「あなた、ちゃんと誤解
解いときなさいよ…って、
凄い顔真っ赤よ!?」
先生は初めて見る彼女の顔に
困惑している様子。
『は、はぁ?///
うるさいんだけど…//』
(…騙されたのに…絶対別れないとか…
アホでしょ…//)
ニヤニヤする先生と
顔を赤らめて俯く女生徒。
彼女の初恋は始まったばかりである。
*終わり*