第6章 ゲスの極み【天童 覚】
ザワザワ…
休み時間は
生徒たちの話し声で
廊下が騒がしい
これが日常…
(あーっ、
職員会、長引いちゃった…)
コツコツ…と
低いヒールで腕時計を見ながら
足早に保健室へ向かっていると
「□□先生!」
と保健室前で女子生徒2名から
呼び止められる…
『?……どうしましたか?』
不敵な笑みを浮かべる彼女らは
「お願い!
次の授業いのセン(猪谷先生)なの!
生理中でしんどいから
ここで寝かせて!」
と手を合わせてお願いポーズをとる。
猪谷先生…真面目すぎて
居眠りとか絶対許さないタイプだもんなぁ…
私は断りきれなくて
ガラッと保健室の扉を開いてから
『4時限目には出席するのよ?』
と彼女たちを招き入れた。
「ありがとーっ!
〇〇ちゃん大好き!」
そう言ってキャッキャと
保健室に入ってくる。
全く…調子いいんだからこの子達は…
なんて考えながら
『このベッド使って…』
と、シャッ…とカーテンを開けた時
『……!?!?』
驚きの光景が目に飛び込んできた。
それは
情事後っぽい上裸の男女が
スヤスヤと寝ているところ…
(嘘でしょ。)
私はシャッとカーテンを閉めて
もう一度恐る恐る中を見た…
すると、
「あれー?
天童くんじゃん!」
と後ろにいた女生徒たちが
またキャッキャと騒ぐ
そして、「んぁ?」と声を出して
起き上がりボリボリと赤髪をかく男子生徒。
焦る素振りは全くない。
そんな男子生徒とは裏腹に
女子生徒の方は起きるや否や
素早く着替えて
保健室を出てってしまった。
天童という男子生徒は
「あれ?もう行っちゃうのォ?
また遊ぼーね♡」
と掌をヒラヒラとふって
お見送りしている。
カオスだ……
「あーあ、センセーに見つかっちゃったかぁ〜」
少し間の抜けた声で
欠伸をしながらこちらを
見るその生徒に…
『なっ、なにをして…』
私は怒りを通り越して
混乱していた。
「□□先生知らないの?
天童 覚。
うちの学校の殆どの女子食ってる
性欲オバケ〜笑」
ポカンとする私に
幽霊ポーズをとる
女子生徒2人。
(く、狂ってる……)