第2章 負けず嫌い【月島 蛍】
放課後ー
私は1秒でも早く家に帰ろうと
靴を履き替えて
玄関を出る。
すると校門に蛍。
いつもなら喜んで
一緒に帰るところだが、
生憎私にその余裕はない。
「頑張ってんじゃん?」
『よ、余裕です〜!』
カチッ
「もう、授業終わったし、
3くらいにしても
問題ないよね?」
『ふっ、うぅ…////』
帰り道…
下校中の同級生や先輩たちが
沢山いるというのに……
私は心を無にして
早歩きで帰る。
蛍も着いてくる。
『ぶ、部活は?』
「今日は休み〜」
『なんか、タイミング…
よすぎないですか?』
「そうですかね?」
だって、いっつも
部活部活って構ってくれないじゃん!
今日ヘッドホンを、
盗んだのだって…
最近の休み時間ー
『蛍〜遊びに来たよー…
って……』
「……」
(ヘッドホン外してくれない!)
ガーン!
---------
『蛍〜お昼一緒に食べよ〜!』
「いいよ。」
……
『モグモグ……
でさ、みっちゃんが…』
「……」
(ヘッドホン外してくれない!)
ガーン!
---------
ってな感じで、
全く構ってくれないから、
こうするしかなかった!
(何をそんなにシャカシャカ
聞いてんのよ……)
「クス……」
『ん?
今笑った?』
「うん…
1人で百面相して楽しそうだね」
『!!///』
き、貴重な笑顔頂きました。
パシャ
「今何撮ったの。」
『あ、いや…
蛍の後ろにいる
猫ちゃんを…』
「いないでショ…」
『ハイ…』
「消して。」
『え、嫌ですぅ
待ち受けにするんだもん!』
「は!?
気持ち悪いからやめてくれない?」
『気持ち悪くないですぅ〜
蛍の心からの笑顔は
地球を救うんですぅ〜』
「変な顔で変な事言うの
やめなさい。」
結局ギャーギャー言いながら
帰ってたら
いつの間にか家に着いた。
無事帰還!
(早く部屋に入ってこれ取らないと!)
蛍がつまんなそうな顔で
「今日さ、部屋行っていい?
ヘッドホンもないから
暇なんだよね〜」
という。
ヘッドホンとっちゃったもんね……
『いいよー!
今日うち親いないし!
泊まってく?』
「……泊まる!」
家の鍵を開けるため
蛍に背を向けた時
彼がニヤリと笑ったことに
私は気が付かなかった。