第8章 風邪【佐久早 聖臣】
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ピピピピ…
朝の目覚ましが鳴って
目を覚ますと…
「おはよう…」
と、上半身裸の聖臣が目に飛び込んできた。
ドキッとして、
『…お、…おはよ…//』
と、くるりと体を反対に向ける。
「おい…」
ぎゅぅと後ろから抱きしめられ
肌と肌が密着して
昨日の体温を思い出す。
『っ…///』
「今日は?仕事?」
すぐ後ろに
聖臣の声がして
またドキッとしてしまった。
『……//』
私は首を横に振って
精一杯の意思表示をする。
「熱は?…」
抱きしめていた腕を
スルっと動かして、
私の額に掌を押し当てる。
『ん……//』
ひんやりして気持ちいい掌。
「もう下がったみたいだな…」
その言葉にハッとして
『移ったんじゃ…』
と、彼の方にぐるっと向き直る。
心配で私も彼の額に触れようとすると
「やっとこっち見た…」
と、無邪気な顔でこちらに微笑む
きゅぅぅっと胸が締め付けられる。
『う…色々と勘違いしちゃってごめんね…』
聖臣の目を見るのが怖くて
彼の胸元当たりを見て謝る。
「俺も…酷いことしてごめん…
今夜は…もっと優しくスるから…
また触ってもいいか?」
ちゅ…と額にキスされた感触があり、
更に鼓動が早くなっていく。
『うん…//
聖臣…これからも私に触れて…//』
聖臣の手を取って
私の頬に持ってくると
優しく包んでくれる。
「綺麗だ…//」
2人で見つめあって…
それから顔を近づける
唇と唇が触れるか触れないかのところで
ピンポーン
家のチャイムが鳴った。
「……誰?」
『?誰だろ…』
玄関に向かうため、
布団を出ようとする私に
「俺が出る…
〇〇はそれまでに着替えておくこと。」
ピンポーン
もう一度鳴る。
「ハイハイ、どちら様?」
と、マスクをつけた聖臣が扉を開ける音が聞こえる。