第8章 風邪【佐久早 聖臣】
『ーっ、放っておいてよ!』
ずっと自分の中にあったモヤモヤを
言い当てられたみたいで
つい八つ当たりをしてしまった。
すると、グイッと手を引かれて
抱きしめられる。
『っ!?!?//』
そして、
「お、俺じゃダメですか!?//」
なんて頬を赤く染めて
こんなことを言う。
『へっ!?///』
数年ぶりの求愛に
心が少し溶けてしまった。
ていうか、谷地ちゃんと
いい感じなんだと思ってた…
私は慌てて突き飛ばした。
ドンッ
彼は少し黙っていたが、
「…彼氏と別れて、
俺のところに来てください。
俺、待ってますから。」
と、言って部屋を出ていった。
私は何も回答できないまま
彼を見送った。
未だに聖臣からの返信はない。
心が揺れているのが分かる。
(どうしよう…
また、決められない…)
私は再びベッドに潜り込んだ。