第8章 風邪【佐久早 聖臣】
*佐久早side*
いつもの電車で
いつも同じ席に座る女子大生。
透けるような白い肌に、
艶のある黒髪。
もの静かそうで、少し気になっていた。
ある日偶然大学で見かけて
少しの運命を感じた。
チラッとこちらに気づいて
ペコっとお辞儀される。
俺も思わずお辞儀を返してしまった。
その日の夜
何だか彼女のことが気になって
友達に彼女のことを聞いた。
学部、名前、彼氏がいるか、などなど。
そんなことを聞いていたら
彼女で頭がいっぱいで眠れなくなってしまった。
翌日-
寝不足の俺は無意識に
彼女の特等席の隣に座り、
うとうとしていた…
数分後にふわっと
清潔で少し甘い香りがして
そこで意識を手放してしまった。
「ん〜………?」
よく寝たな…と
目を覚ますと
誰かの肩で寝ている感覚で
飛び起きた。
電車のなかで汚いおじさんの肩
で寝ている自分を想像したからだ。
でも、横をパッとみると
□□さんだった。
俺を起こすことができず
ここまで肩を貸してくれたらしい。
なんていい子なんだ。
2人で同じ駅で降りた。
彼女は大学まで戻るか聞いてきたが
俺は隣のホームの満員の電車をみて
満員の菌が見えて
「俺は乗らない。」と言った。
彼女もその電車をみて
青ざめていたから
気が合うのかもしれない。
『私も一緒にサボってもいいですか?』
俺たちはこの日を境に
とても仲良くなった。
学部は違うが、
昼食や休日を一緒に過ごす日が増えた。
大会も見に来てもらった。
俺は大会で優勝した日に告白し、
無事付き合うことになった。
彼女は潔癖程ではないが
綺麗好きで
部屋も物が少なくて片付いている。
落ち着く。