第16章 明かりが欲しい
『そう、ですね。自分は本当にバカでした』
横たわっておる氷月のベットに腰かけ
赤い管が刺さっておる手首に触れる
ほんのり温かい氷月の体温を感じた
脈拍も普通の人間のように戻っておった
『仁王君は温かいですね』
仁「お前さんの光は温かいぜよ」
『何故僕が仁王君の事を「光」と命名したかわかりますか?』
仁「どうしてじゃ?」
『その綺麗な銀が僕を誘ってくれたからです。光に当たると綺麗に輝き僕の光のようでした。そこから優しく話しかけて来ると太陽の光のように温かい物を感じたからです』
仁「......」
『あの時、「陰」と名乗ったのは仁王君とは正反対の意味を込めた物です。仁王君が目立つ光なら、僕は君のサポートをする影だからです』
仁「じゃから、テニスの時...」
『どちらにしろあの時の僕では仁王君の足手纏いでしたしね』
仁「!」
柔らかく微笑む氷月の表情にまた胸が高まって行く
俺とは反対の窓を見つめると吹雪いておった外は
綺麗な満月が見えた
そこから幻想的に輝く氷月の髪に俺の鼓動は速さを増して行き
氷月の白い綺麗な首筋を見ると、俺の視線は釘付けになった
その白い首筋に俺の花を咲かせたいと欲望が溢れかえりそうじゃった
『君は野良猫ではなかったのですか』
窓を見ながら冷静に物を言う氷月は楽しそうじゃ
仁「野良猫、のう」
『今の君は銀の狼ですね』
微笑みながら俺の視線に自身の視線を絡ませる
コイツ、殺し文句も上手いんか
俺の理性が持たないナリ
『普段は野良猫だと思ってたんですけどね』
仁「どうしてじゃ?」
『屋上でサボって日光浴をし、勝手に人の部屋に入り込んで来る辺りから評価しました』
仁「そんで?狼は?」
『今の仁王君は何かに飢えている用に、目をギラギラと輝かせています』
ドクンと心臓が大きくなると俺の体が熱くなる
殺し文句だけだと思っておったが、誘い方も中々じゃ
流石、俺の惚れた女じゃ
手首を掴んでおった手を放し氷月の頬に触れる
外気に当てられおるせいで冷たいが肌の色は戻っておる
仁「俺は、お前さんの事が、好きじゃ」
余裕のない俺の声に一瞬だけ目を見開く氷月
『僕に、恋愛感情はありません』