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古きパートナー

第14章 冬休み


仁王側

部屋の扉が閉まる音が聞こえ、目が覚めた

時計を見ればそこまで寝ておらんようでついさっき日付が変わったようじゃった

辺りを見渡すと男は全員おった

消去法を出さなくとも誰かが分かり、携帯や財布などを持ってその人物の後ろに付いて行く

水色の髪を1つに纏めておる人物はトボトボと少しおぼつかない危なっかしい風に歩いて行く

階段を下りて行きロビーの椅子に座り込むと

浴衣から音楽プレイヤーが出てイヤホンを耳に入れる

スリッパを脱ぎ、両膝を抱えて頭を埋める

警戒して辺りを見渡しておると完全に視線を下に向けた

俺はそれを見てから彼女の前に立つ

仁「氷月」

読んでも返事がない

イヤホンから流れる音楽はそんなに大きいのじゃろうか

仁「氷月」

どれだけ呼びかけても反応しない氷月はそのままの状態で固まっているだけ

膝を抱えている腕は何時の間にか震えており

高架下で打っておったように氷月の周りに負の雰囲気かが漂い始める

仁「氷月!」

肩に触れて、呼び起こすように少しだけ揺らしてみると

『!』

珍しく慌てた様子を見せるの目の前の彼女は

その場から離れるために1歩足を踏み出すが

踏み出した足元の床は深く、体勢を崩すと俺の胸の中に飛び込んできた

それに驚いた俺自身も体勢を崩し床に背中を打ち付けた

ジワジワと痛みが広がる背中は熱く、変な汗を掻いてしまった

『痛くない...』

自分の予想としては地面に正面衝突すると考えておったのかもしれん

俺の上で瞬きを繰り返す彼女のイヤホンを取ってやる

仁「こんな所で何をしとるんじゃ?」

『に、おう、君...?』

無表情なのに声はすっとんきょで首を少しだけ傾げているのがまた可愛いナリ

仁「積極的じゃのう」

『?』

何時までの俺の上に乗っておる氷月に意地悪をしたくなり

『あー、あるほど』

一言声を掛けると状況を把握した氷月は慌てる様子もなく冷静に早く降り立ちあがった

そして俺も立ちあがり氷月の方を向く

『すいません、重かったですよね』

仁「そんな事はないぜよ。軽かったナリ」

『仁王君は何処かに用事ですか?』

用事か、そうじゃのう

仁「まあな、行くぜよ」

氷月の手を掴んで俺は元来た道を戻った
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