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古きパートナー

第12章 答え合わせ


仁王側

俺が確かな確信を得たのは最後の言葉じゃった

テニスの試合、それだけで十分じゃった

見間違える訳なかった、俺の憧れの存在じゃ

動画で密かに流れる正体不明のテニスプレイヤー

彼は自分で「マジシャン」と名乗った

それ以外は性別であろうが歳であろうが

何もかも秘密であった

じゃが、夏も終わりに近づいた時

アイツが戻って優真と試合し最後に放ったあのボールの回転力

手首の返しが上手く、体の全ての力を集中させる

腰を最大まで捻りその遠心力でボールに回転を掛けておる

俺のプレイスタイルはコピーテニスとはまた違うが

似ているには似ている

マネをしようと思ったが参謀に止められた

アイツ程手首が柔らかくないからじゃ

手首の返しが下手であれば力が腕に集中し痛める恐れがあるからじゃ

少し遅い帰り道はすでに真っ暗になっておる

無意識のうちにマンションの近くまで来ておった

仁「いつ抜けたかのう」

あの騒がしい商店街をいつ抜けたのか

『仁王君ではないですか』

仁「ん?」

マンションの入り口には制服姿の白川が立って居った

仁「何しとるんじゃ?」

『今、帰ってきた所です』

仁「そうか」

優真の家に行くと言って居ったのう

仁「お前さん、夕飯は何処かで食ったか?」

『いえ、食べておりません』

仁「なら今日は俺の部屋に来んしゃい。聞きたい事も多いからのう」

『わかりました。用意が整ったら向かいます』

一緒にエレベーターに乗って自分の階へ向かった






『ご馳走さまでした』

仁「ん」

あの後、白川は風呂に入ってから来よった

風呂上がりのせいで肌は潤って居り

少しだけ頬を赤く染めている貴重な顔であり

髪は春のように下ろされておった

何より色気がヤバかった

崩れそうな理性を保ちながら夕飯の準備をし

向かい合って食べるだけで

俺の鼓動はドクドクと煩かった

食後のコーヒーを淹れるためにその場所から離れクールダウンする

そのままじゃったら色々と危なかった

いつものように2つのコーヒーカップに注ぎ込み

俺は白川の待って居るソファに腰かけた

『ありがとうございます』

仁「気にしなさんな」

『...美味しいですね』

仁「どうも」

いつもの会話がこれ程楽しいとはな
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