第1章 壱
今日は特別な日だ。
何が特別なのかと言うと、何とあの人気のグループの
オレンジレンジのメンバーが引っ越してきてこの町に住むらしい。
この町、唯一の学校…美八学校に先生として来てくれるという。
それが今日なのだった。
そして今町には
密かに行われていた引っ越しを
何処からか聞き付けた
ファンやら報道人が押し寄せて来て普段の野羽町
では考えられない程の人口になっていた。
この状態に町の人たちはとさぞ迷惑してるだろう…
と思いきや、
「はーい!レンジのグッズあるよー!」
「今この品を買ってくれた人にはポスターあげるよー」
などと、どこで手に入れたのか勝手に
彼らのポスターやらグッズを売りさばいていた。
こんな感じでこの状況を上手く使い金儲けをしていた。
そして午前九時。
「~~♪」
普段はもう少し早くなる筈の学校開始の合図が
野羽町に響く。
「あ、チャイムなった。いそがな」
「あ、昨日の宿題持ってくるのわすれた…(汗)」
「いよいよ凉様のお顔が拝見できるのねっ♪」
「弘樹っ今すぐ貴方の所へ行くから待ってて♡」
その音を聞いたファンやら学生やらが
思い思いの事を言いながら学校に続く商店街を
歩いて行った。
その中に
ニット帽を深く被った
青年三人が居たことは浮かれていた人々は誰も気付く事はなかった。
…目指すは美八学校。