第10章 10話
部屋の中央を分捕る明らかにシングルにしては大きすぎるベッドの中央に私は座った。というよりは尻餅を着いているのだけれど。
その上から赤司が私に覆いかぶさろうとして来るので反射的にベッドに仰向けになってしまっていた。
「…おい、手をどけろ。」
私は近づく赤司の顔を両手で覆っていた。
「赤司は狡いね。本当に狡いよ。1人で勝手にどっかに行くし、かと思ったら平気な顔して現れて。私の気も知らないで。…私は昔っから手を引っ張られてたから、離されるとフラフラしちゃうぐらいわかってたでしょ??だから狡いよね、本当に。責任とってよね。」
赤司は顔に触れている手を手で覆い満面の笑みで私を見る。
「最初からそのつもりだけどな。」
赤司は私の手を離し私の両耳の横に手を着く。
「それって最初から仕組まれてたってこと?」
「さぁ、どうだか…」
「何それ、とても怖いんですが。」
「そんな俺が好きだと言っていただろう?」
「そういうのを世間では自意識過剰と言うんですよ。」
「自意識過剰でもなんでもいいよ。俺は山吹が好きなのは事実だから。山吹は?」
「…どうしてそう平然と言えるのか理解に苦しむ。……私も好きだけど。」
彼が私の視界いっぱいに広がり電気さえも見えなくなる。落とされた唇はいつも温かい。
「今日は少し大人の遊びをしないか?」
覆いかぶさりほぼゼロに近い距離で耳元でそう囁かれると擽ったくてしょうがない。
「私に拒否権は?」
「ない。」
「最後まで、する、の?」
「しない。そういうのは俺たちにはまだ早い。」
妖艶に笑い頬に触れてくる。唇を食べる様なキスは甘い様で少しカカオがきついチョコレート。
隣に憎たらしくてムカつくし腹が立つ時も多い。
主導権もきっと始めから握られっぱなしなのは知っている。
でも、それでいい私たちはずっとこう。
始めから私たちはこういう形で始まっていたから。
「ちょっと、どこ触ってんのセクハラでしょ!!」
「腹の脂肪。」
「やめてって!!や、だめだめだめ!!なにどさくさに紛れて胸触ってんの、それセクハラでしょ!!!!」
「こっちはこれ以上大きくも小さくもなる必要がないな。」
「本当にやめて!!」
厄介な天帝さん。終