第10章 10話
そして数分後の現在。
私達はコートのある公園にやって来ている。
「山吹、鈍いな。」
「…何で私が指導されてるんだっけ?」
休日のコートは誰も使っていないおかげで広々とコートを使えた。プレーを見たいと言ったのに何故か指導している赤司。一種の職業病みたいなものなんだろうと1人考える。
「手首のスナップをもっと効かせるんだ。じゃないとボールの回転が掛らない。」
「こう?」
「違う、何度言ったらわかるんだ!こうだ!!」
「あーもー知らないよ!こう!?!?」
来てからもう1時間は経つ、まだ一対一など到底出来ないレベルだとか言われて何故かシュート練習が始まった。今だにシュート練習以外やらせて貰えず赤司の本格的な指導に不貞腐れ始める私。赤司も赤司で全く進歩ない私に抑えてはいるものの結構前から着火していた。
「見本を見せるからしっかり見とけよ」
タンタン
ドリブルからのスリーポイントシュート。
ボールはネットに吸い込まれる様にスーッと入って行く。
「わー上手上手!!」
私の声に呆れ顔の赤司はお前が下手なだけだと言ってくる。
「んー。何でだろ。見ている時はボールって軽そうに見えるのに実際は結構重量あるよね。」
「まぁそうだな。バスケはバレーボールより重いな。まぁバレーはボールが下に付かないために軽いわけでバスケットボールの様にあそこまで重いと怪我をしてしまうだろうね。ボールにはスポーツ各種、其れ相応の適当さがあるって事だ。」
「ふーん。何でもいいけど1対1しようよ。」
「そうだな、そろそろお昼だからな。この後、外食にでも行くか?」
「やった!と言うことで早く早く!!」
子供の様に急かす私にクスリと笑う赤司。そんな姿は小さい頃と全然変わって無いことには自分では気づいているんだろうか。
「負けたら山吹の奢りだからな。」
「え?!」
「冗談だ。さっさとするぞ。」
赤司が私にボールを投げ渡し、私からのようだ。
「来い!」
真剣に試合の様に構えた赤司に少し圧倒されながらもボールをドリブルの要領でつく。
すると、真剣に私を見ていた赤司は突然必死に笑いを堪えようと顔を下に向けクスクスクスクスと笑い出した。
「なによ!」
私が少しムキになって言うその瞬間を狙っていたのかドリブルしていた私の手からボールがなくなった。