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続・厄介な天帝さん

第9章 9話


朝、起きると以上に喉が痛く頭もズキズキとひどい頭痛がする。昨日のラッキーアイテムがのど飴だったのは、ある意味これの前兆だったのかと今頃になって気づく。

今日はいよいよウィンターカップ3決と決勝と最後の日となる。
試合は何があっても応援に行かなければいけないし、何よりもこの目で見届けたい。
一応熱を測れば幸い微熱のようだし、大丈夫だろう。

そう思い薬も飲まず家を後にした。

私が会場に着く頃にはもう皆集まり練習をしていた。
皆、昨日のように熱心な目をしている反面どこか悔しそうでもある。
試合直前のコートでは海常側のコートでは黄瀬くんの姿はなく、彼はベンチで待機だった。
海常は落ち込んでいるのと負けたくないといった顔つきでいた。

そして、試合開始のブザーがなる。

今日の試合ももちろん二階から観戦であるが3決だからだろうか席もそこそこ空いていたため1番手前の席で試合観戦ができた。

試合は予想通り秀徳に有利な試合展開になっていった。
何せ相手はエース不在の穴は大きかったのだろう、緑間くんを止める術がなくどんどん点数の差は開く。

どんなスポーツであっても一発逆転は起きたりなどしない。例えばこのバスケットボールとしよう。限られた時間の中体力精神力全てを試合に注ぎ込むことはなかなか自分でコントロールできるものではない。点数に差が開けば自然とチームのメンタルは落ち込み、プレーにも影響を及ぼしてしまう。加えて制限時間の中フルで体力を動かしている分パフォーマンスも全開の時からどんどんと制度は落ちてくる。この全てを踏まえ考えれば一度その泥濘に足を取られると抜け出すのは容易ではない。

今回は根本に原因があるから例外であるけれど。

海常はいいチームだし、凄く上手いと思う。
だが、圧倒的にチームの主軸であり心臓部であるエースが抜けてしまえば残酷な言い方ではあるがただの上手いチームでしかない。

やはり、黄瀬くんの存在感がいかに大きいか知らされる試合だった。

試合中ずっとコートの外で手を握り締める黄瀬くんに次の試合には出れるようになってまた、秀徳と本気でぶつかって白熱した試合が見たいなと思った。

試合後に涙を流す海常選手と握手を求めにいく秀徳選手に会場は暖かい声援と拍手で包まれた。

私もこれだけ残酷な試合でありながらも何とか負けじと食らいつく海常の選手達に拍手をした。


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