第4章 第二章 一部
「マミね~、保育士になりたかったの~」
帰りの車の中。高松さんが、つい先程亡くなった女の言動を冗談半分で真似て、皆を笑わせる。
(あの女、マミって言うのか)
今の今まで知らなかった女の名前。良い思いでのないその名前に不快感をかんじつつも、笑って気を紛らす。
(そういえば──)
ふと思い出したのは、大量に送られてきたメールの事。アドレスを変えたので大丈夫だとは思うが、なぜか携帯が気になってしかたがない。
俺は、ズボンのポケットに入れてあった携帯を取りだし画面を見た。
『新着メール110件』
サイレントにしていたので気付かなかったが、あまりにも多すぎるメールの着信件数に目の玉が飛び出そうになった。
いったい誰が送ってきているのか送り主の欄を見ると、そこに表記されていたのはやはり知らないアドレス。
『usedimamaterasorokinatana@────jp』
何度読み返しても、そのアドレスには見覚えがない。