第4章 第二章 一部
「(ここに)来る途中、変な爺さんに会ったんです。しかも、その爺さん身体が透けてて──」
俺は廃墟に来る途中に遭遇した出来事を真剣に話してみた。
「お前、昼間からラリってんのか~?」
けれど、誰一人として俺の話を信用する者はいない。
だが、『信じてもらえない』ということは、最初っから分かっていた事。こうして話している俺でさえ、その話を信じていないからだ。
かといって、馬鹿にされて平気な訳ではない。
『ははは、そうっスよね~』
内心、腸が煮え返るほどの苛立ちを感じていたが、この場に高松さんがいるので笑って誤魔化すほかない。
俺は、へつらってばかりの情けない自分に、心底愛想をつかしていた。なぜなら、本当の事を言っているのにもかかわらず、わざと頭の悪い嘘つきを演じているからだ。