第4章 第二章 一部
『自分のメールアドレスを変更すれば、二度とメールが届く事はないだろう』
そう高を括り、俺は携帯電話を放ったまま出かける準備をしていた。
ほんの数分前、高松さんから呼び出されたからだ。
たぶん、用という用ではないだろうが、早く行かないとまた彼は機嫌を損ねる。
遅くても40分。それ以上かかったら殴られるという事は経験済みだ。
服装はいつものように少し大きめのTシャツとジーパン。髪型はアップバンクショートヘアー。特に遠出をする予定がない時は、この服装で家を出る。
なにせ、この方が断然動きやすい。それに、汚れても良い服装の方が思いっきり遊べる。
「……晴輝、ちょっと話があるんだけど──」
携帯電話を手に取り家を出ようとする俺に、台所にいたお袋が声をかけた。
いつも午前様のせいか、お袋から帰る時間を聞かれたことがない。出かける時も行き先等聞かれる事もなく、ほぼ放置状態。
「……なんだよ?」
俺は、急いでいる時に限って声を掛けてくるお袋をうざったく感じた。