第2章 第一章二部
「すいません!! 俺……俺知らんかったんッス!! まさか──」
地面に尻餅を着いた恭輔は尋常じゃない程に慌て、あちらこちらへ逃げ惑う。
一方の高松さんは、のそのそと亀が歩くような速さで恭輔を追っている。
逆にそれが恭輔の恐怖心を煽っている様子。
まあ、恭輔が逃げるのも無理はない。今の高松さんは何をするか分からない状況。猟奇的な目をした彼を止められる者は、この場にはいない。
「うるふええ──!!」
薬の影響で呂律が回りきれていない高松さんは、もはや何を言っているのかさっぱり。緩んだ口元から垂れる唾液を拭うことはせず、恭輔を殺る事だけに全神経を集中させているようだ。
「お前──」
此方へ走ってきた恭輔は俺の顔を見た途端、鬼の形相で俺に飛びかかってきた。
そして、何度も何度も言うのだ。
『お前のせいだ』
と。