第1章 第一章 一部
素早く暗証番号を解除し、待ち受け画面を開く。すると、画面上にメールの着信があったことが表示されている。
登録しているSNSからのメールだ。どうやら、ミニメが届いているらしい。
たぶん、いつもメールを交わしている女からだろう。
俺は、迷わずそのサイトへアクセスした。
“今暇? メールしよ”
即座に表示される文章。無駄にハートを乱用していて、背中がむず痒くなる。
ハートの絵文字ををよく使う奴は好きじゃない。それは、男でも同じこと。
“めちゃくちゃ暇(ハート)マミはなんしよん?”
けれど、俺はあえて嫌いな絵文字を使い、女と同じ土俵に立つ。
そうすることで、このサイトにいるほとんど女は体よく勘違いをしてくれる。
それほど、このサイトには軽い女が多いのだ。
(つうか、暇じゃねえし)
嘘吐きな自分に小さく笑う。それと同じタイミングで震えだす携帯電話。見てみると、マミという女からの返信メールだった。
“なにもしてないよ~(ハート)あのさ、ヒロ君好き~(ハート)”
女からのメールは、またもやハートが多い。それに加え、内容もピンク一色。