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君に十進法
第12章 可惜もの
「ごめん。」
彼の口から謝罪の言葉が出る。しかし、その表情は決して申し訳なさそうなものではない。
何かを決心したような、清々しい表情だ。
「けど、後悔はしてない。これを機に言っておく。」
握られた手首に力が入る。彼に真っ直ぐに見つめられ、目をそらせなくなる。
まるで時間が止まったような、私の耳には彼の声しか入ってこない。
「お前が…絵夢のことが、好きだ。」
『え……』
「ずっと好きだった。俺と、付き合ってほしい。」
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