第16章 正直もの
土産屋通りを一通り見てまわった後、私たちは帰りの電車に乗り込んだ。
「絵夢ちゃん、ずいぶん大荷物ですね。」
隣に座るさくちゃんが私の足元を占領する紙袋に目を丸くする。つい、あれもこれもと買っていたらこんなになってしまったのだ。
『なんか、全部美味しそうに見えちゃって。』
「それわかります!私もちょっと今日は買いすぎちゃいました。」
同意を示す彼女だが、彼女の荷物は頭上の棚にきれいに収まっている。自分の荷物を見つめ、大量の土産をどこで消費しようか、それを考えているうちに、いつの間にか私は深い眠りについていた。
(椎、喜んでくれるかな。)
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「では皆さん、また明日からお仕事、よろしくお願いしますね。」
マサさんの挨拶を最後に私たちの一泊二日の慰安旅行は終了した。
『今…から帰る、ね。と。』
結局旅行中に椎と連絡をとったのは昨晩の一度きりだ。今日の午前中、おそらく椎がバイトに行く前頃の時間帯に電話が一本入っていたが、タイミングが合わず不在着信として履歴が残っていた。
『メール、見てくれるかな。』
これから帰宅する旨を伝えるメールを送ったが、特に何をしてほしいわけでもないのだ。ただ、帰ったとき「おかえり」とだけ言ってもらえれば十分だ。
そんなことを考えていると、もうすでに最後の曲がり角にさしかかるところだった。彼に会いたいと思う反面、昨晩あんな終わり方をしてしまった手前どんな顔で会えばいいのかわからないのも本心だ。
(とりあえず、ちゃんと謝ろうっと。)
「絵夢…?」
自分の足元ばかり見て歩いていたせいで、数メートル先にいる彼に気づかなかった。けれど、彼はちゃんと気付いてくれた。
たった二日会わなかっただけなのに、すごく久しぶりな気がする。思わず抜けそうになる力をなんとか持ち直して彼に歩み寄る。
____________________________ガバッ
猛スピードで駆けてきた彼に飛びつかれて、思わずよろける。その細身の体からは想像もつかない力で抱きしめられて、私の両手からは荷物が落ちる。