第5章 新学期、そして転入生
新学期が始まった
クラスは2-B
ちなみにちゃっかりと精市もいた
去年、精市とはほとんど近い席ばかりだった
いつの間にか呼び方も名前呼びだった
私ももちろん幸村屋と呼んでいたのに、強制的に名前呼びにさせられた
それから、随分と仲良くなってしまい、ほとんど二人でいたのを覚えている
話は戻るが、クラスが同じだったと知った精市の喜びようが凄まじかった
何故そんなに喜ぶのか、疑問に思い聞いたところ、
「だって、俺希のこと大好きだもん!!」
と、なんとも形容し難い返答を頂いた
というか、男がもんとかいうな
まぁ、嬉しくないといえば嘘になるが
『そういえば、2-Aに転入生が来るらしいな』
中学で転入とは、家の都合だろうか
ま、うちのクラスではないから、関わることはないだろうけど
「ん?…あぁ、仁王と丸井のところだね。珍しいね、希が興味を持つなんて。明日は槍が降るかな(笑)」
…コイツ(怒)
『バラすぞテメェ…
別に私が何に興味を持とうが私の自由だ。
…ただ単に面倒なことにならなきゃいいと思っただけだ』
もし男なら別に構わねぇ
でも、もしも女なら、ミーハーの可能性もある
つまり、精市に被害が来る
他のテニス部?
知るか、あいつらのことはどうでもいい
腑抜けになろうが、知ったこっちゃねぇ
ただ、精市の身が守られれば、それでいい
こうやってみると、私も随分と甘ちゃんになったものだ
誰かの心配をするなど
そんな思考がお見とうしなのか、
「俺のことは心配いらないよ。だから、そんなに眉間にシワを寄せてたら希の綺麗な顔が台無しだよ?」
…コイツは…恥ずかしい台詞をよくも堂々と…
まぁ、でも
嬉しいって思う自分はコイツのことが好きなんだって
そう、思えるんだ
コイツにはぜってー言わねぇけど