第9章 希望(リヴァイside)
翌日の昼前にエルヴィンが兵舎に帰ってきたのと同時にリヴァイは話があると言って幹部がエルヴィンの執務室に集まった。
「話とは何だ?」
「王の事だ」
そうリヴァイが言うとハンジが昨日見せてきた紙をエルヴィンに渡す。
それを受け取り読んだエルヴィンは表情を変えずに聞いてきた。
「この情報は確かな物か?」
「そうだね。
憲兵に調べさせたから間違いないよ」
それを聞いてエルヴィンは険しい顔をした。
「もしそうなら、かなり大変な事になるな…」
「あぁ…
だから早急に計画を立てて実行する必要がある。
既にエミもこの事を知っている可能性もあるしな」
リヴァイは腕を組んで言うと椅子にもたれかかった状態で俯いてエルヴィンは答えた。
兵舎と内地はかなりの距離がある為疲れているのだろうが、そんな事を言っている暇は無い。
「だとするとエミは側近になった可能性が高いという事か。
いくら非番を与えられたとしても中央の兵舎から出る事は…」
「まず不可能と考えた方が良い」
エルヴィンは考え込むと徐に話した。
「彼女が非番を与えられたとしても会うのは難しいだろう。
俺らが動かないと一生中央の中に居る事になるな。
それにしても王がエミの伯父だとはね…」
「昨日考えてたんだけど…」
ハンジが真面目な顔をしながら言う。
「そもそも本物で無いのに、何故王として扱われているんだろうね」
「その事に関しては目星はついている」
エルヴィンの言葉に3人は驚いた。
「人類が巨人によって塀の中に追いやられた時に、本物の王族は身を隠したと聞いた事がある。
それが本当ならば、今の王は殺されても支障が出ない代役って事だ」
「代役か…
そこまでするという事は巨人について何か隠してる事があるんだろうね」
「そう考えて間違いない筈だ」
「面倒な事になったな」
リヴァイが呟くと皆黙り込んだ。
そして沈黙を破るようにエルヴィンは話した。
「とりあえず今現在エミとの接触は無理だ。
2~3日時間を貰えないかな?
出来る限り彼女と接触出来る方法を考えよう。
その間、ハンジは出来る限り情報を集めてくれないか?
勿論、バレないようにね」
「分かった」
その言葉で3人はエルヴィンの執務室を出た。
「まさかこんな早くになるとはね」
ハンジは呟いた。