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第7章 決意


翌日、演習の監督をしているとエルヴィンが現れた。

「大丈夫かい?」

優しく微笑んでいたが、団長自ら演習場に来るのはかなり珍しい。

エミはいつも通りの笑顔を見せて「はい」と答えると、今晩執務室に来るように告られた。

エルヴィンが言いに来るという事は1つしか無い。

エミは憂鬱な気持ちになったが、今は演習に集中した。

自分が中央に行けば、今目の前にいる部下達が壁外で亡くなったとしても顔を見る事が出来なくなる。

それは何よりも悲しい事だ。

人類の為に心臓を捧げる事を誓った兵士。

人類の為に巨人と戦う事を決め、調査兵団を選んだ兵士。

全ては人類の未来の為に…

そんな仲間を置いて自分は安全な内地に行く。

兵団を異動する事はかなり異例ではあるが、それもエミの運命なのだろう。

エミはいつも通りに部下の演習を見守り、そして悪い所を指摘し、場合によっては自ら見本を見せる。

それが幸せに思えた。

また会う日が来た時、この中で何人が生き残っているのか。

その日、エミは食欲が湧かず夕食を取らなかった。

食堂に現れなかったエミを心配してリヴァイが訪ねてきたが、体調が悪いと言うと無理やり部屋に入ってきた。

「何かあったのか?」

普段は見せない心配そうな顔でリヴァイはベッドに横になっているエミを覗き込んだ。

答えずにいると強引に座らせられた。

「エルヴィンに何か言われたのか?」

リヴァイは目を細めてエミを見る。

このまま黙っていたら間違いなくエルヴィンの所に乗り込みに行くだろう。

「今晩、部屋に来る様に言われました」

エミはリヴァイを見ずに答えると腕を掴まれて強引に引っ張られながら部屋を出た。

到着した部屋はエルヴィンの執務室。

こうなる事は分かっていたが、部屋に入るのに抵抗があった。

そんなエミの気持ちとは裏腹にリヴァイはいつも通りノックして返事を待たずに部屋に入った。

部屋に入るとそこにはハンジとミケも居た事に驚いたが、2人はこちらを見て何も無かったかの様に話し掛けてきた。

「リヴァイ、遅かったじゃないか〜!」

「悪かったな。
こいつ様子が普通じゃねぇから様子を見ていた」

そう言ってエミと共にエルヴィンの前に立った。
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