第21章 感情
彼女は今、運動会での出来事が学校中に知れ渡ったため、学校一の嫌われものだ。
いつも一人ぼっち。
その為か、桜を恨み続けていた。
「しゃべるな源川ぁ。」
「嫉妬うざっ。」
どこからか聞こえてきた声。
源川がキュッと唇を噛んだ。
「死んじゃえばいいのに…あんな女。」
憎しみが彼女からあふれでている。
「嫉妬もいい加減にしろ!!」
「自業自得じゃん!!」
麻央達が源川を睨み付けた。
「すぐに男に股開いて――」
ガシッ―――
「テメェ…調子に乗るのもいい加減にしろ。」
物凄い形相の松崎が、源川の胸ぐらを激しく掴んだ。
力の入った目が、ジッと動かずに源川を捕えている。
「…松…崎……。」
源川は動揺していた。
なぜなら、いまだに彼に恋心を抱いているから。
だけど、彼は彼女を見ようとしない。
「…くらすゾ?」
彼の意中にあるのは、憎たらしく笑う女。
彼女を見ることは絶対にない。