第20章 債務者と書いてカモと読む
あぁ、うんざりする。
なにが楽しくて、バカな兄貴の部屋に入っているんだろうか。
もうずいぶんと持ち主が帰ってこない部屋は、時代に取り残されている気がする。
定期的に掃除はしていたが、時折出てきた雑誌やらエロ本がそう感じさせていた。
兄貴とはいい思い出がない。
あの無茶ブリが心底ついていけなかった。
上田さんが兄貴だったら良かったのに。
何度思ったことか。
シワひとつないベッドに腰かけると、携帯を取りだし翔に電話をかける。
"誠也ちゃん、どうしたん?"
3コール目で出てきた翔の声は、ノーテンキでますます腹が立つ。
お前のせいでとんでもねえことになってんだよ!!
そう叫んでやりたい。