第4章 二宮和也の場合。
「うん、凄く・・綺麗。」
お母さんが鏡越しに私を見る。
「ふふ・・・そう、かな。」
「昔の私そっくりね!」
「って、結局自分ですか。」
「あはは、いいじゃない、少しくらい幸せわけてよ、花嫁さん。」
「・・・やだなあ、照れる。」
今日は私の結婚式。
コンコン、と扉を叩く音。
「?」という声が聞こえる。
「あ、カズがきたわね!ふふふっ、はいはーい。」
とお母さんが着物で小走りに走る。こけそう。
お母さんが扉を開けると、グレーのスーツに身を包んだカズの姿。
「・・・・・・、」
私を見ても反応が無い。
「って、無反応ですか。」と笑ってしまった。
「あ、いや、その・・・うん、」
「ふふふ、うん。」
「は、はは、うん。」
笑い合う私たちにお母さんが突っ込む。
「なんなの、それ!」
カズの後ろからひろちゃんが出てきた。
「や、・・・いやだ!ちゃん!すっげぇ可愛いんですけど!」
「いや、なんでそんなチャライの!」
とカズがひろちゃんの頭を叩いた。
「あはははは、ひろちゃん、ありがとう。」
「やあ、さすが母さんの娘だなあ。」
「ふふふ、でしょ?」
この人たちは相変わらずバカっぷる気分です。
あの日、私たちの家族の戸籍が変わってからも、私たち家族の関係は全く変わらなかった。私とカズは戸籍上、赤の他人になった。
「お父さん、お母さん、今まで育ててくれて、ありがとうございます。・・・・・・これからも、よろしくお願いします。」
二人に、深くお辞儀をした。後ろでカズも一緒に頭を下げていた。
「・・・また、俺の娘になるね、ちゃん。」
ひろちゃんのその言葉に、声を上げて泣いた。
「あらあら、、化粧が台無し!」と2人が笑う。カズも「あーあ、父ちゃんが悪いわ、」と笑った。