第4章 二宮和也の場合。
2人で並んで歩くのは中学生の頃以来で。
「…なんか、変な感じ。」
「なにが。」
「2人で歩くの。」
「ね、懐かしい。」
カズが持ってきてくれたパーカーは大きくて、私の手まで隠れてしまう。あれ、カズってこんなに大きかったっけ。自分の手をじっと見つめていると、カズが笑った。
「なに、どうしたの。」
「いや、カズ男の子、なんだなって。」
「ちょっと、今までなんだと思ってたの。」
「そういう意味じゃないんだけど。」
私が聞こえるか聞こえないかの声でそう呟くと、「んふふ、」といつものように笑われ、少し先を歩くカズに手を差し出された。
「手、繋ごっか。」