第4章 二宮和也の場合。
「和也ー!帰ってくるなら連絡しなさいよ!」
「やだよ、かーちゃんうるせえんだもん。」
「もーお父さんに連絡しなくっちゃ!」
「えー?いいよ、別に。」
「だめ!今日は和也の好きなハンバーグよ!」
「あ、まじ?やったぜ!」
久しぶりにカズのいる我が家は騒がしかった。お母さんが料理に腕を振るい、ひろちゃんが何を祝うわけでもなくケーキを買ってきて、それを見てカズが大袈裟!と笑う。
そんな家族団欒のひと時なのに、私の心にはポッカリ大きな穴が開いたままだ。
幸せな光景を、素直に受け止められないなんて。いつからこんな可哀想な女になったんだろう。