第4章 二宮和也の場合。
あれから何を話しても、二人の中にはお互いが遠慮するような変な空気があって。1時間もせずに「また学校で。」と、石川君は帰っていった。
一人になった部屋で横になっていると、扉の向こうで「」と呼ばれる声がした。
「・・・・・・」
「入っていい?」
「・・・・・・だめ、」
部屋の扉が開いて、カズが勝手に入ってくる。
「だめって言った。」
「聞こえない。」
「嘘つき。」
「・・・うん、」
カズが私のベットに座る。
「石川君に嫌われた。」
「・・・、」
「出来なかった、」
「ばかじゃない。そんなんで嫌いになれないよ、男は。」
「・・・でも私」
「まだ始まったばかりでしょ。焦らなくていいじゃん。」
さっきまで石川君に否定的だったカズが、やけに優しい。
「・・・キスされても何にも思わなかった。」
枕にボフッと顔を埋めた。なにやってるんだろう、私。
「それが答えじゃない?」
「こたえ?」
顔を上げてカズを見る。
「の気持ちが石川君にないって答え。」
なんとなくわかってた、カズに言われてそれが確信になっただけ。