第3章 相葉雅紀の場合。
「・・・じゃ行こっか、ちゃん。」
そう言って手を差し伸べてくれた相葉くん。その手を取って階段を一歩づつ降りていくと、暑い日差しの中、急に冷たい風と木々たちが騒めく音がした。
『 』
微かに聞こえた人の声に振り向くと、そこには綾人の姿があった。
『 、大丈夫だよ、雅紀は俺が保証するいい男だから。俺はいつもここにいるから。 』
照りつける日差しに目がくらみ、一瞬目を離すと、さっきまで見えていたはずの姿はそこにはなく。
「・・・あや、・・・と・・・?」
「どうしたの、ちゃん」
急に立ち止まった私を呼ぶ相葉くん。
「あ、いや今そこに・・・」
もう一度その場所を見ても、さっき降りてきた階段が上に続いているだけの景色。
「どうした?何かあった?」
優しく微笑む相葉くんが私に近づく。
「・・・ううん、なんでもない。」
「へーんなの!ねえ、腹減らない?飯食おう!何がいい!?俺はねー唐揚げ定食!」
「またぁ!?」
「あ、こういう時綾人はこんな暑い時にんなもん食えるか!蕎麦に決まってんだろ!ってうるさかったよ!」
「あはは、ぽいね、綾人ぽいね。」
綾人、今度はこの手を絶対離さないから。だからこれからも3人で一緒にいようね。
相葉くんの大きな手を握って綾人に送った最後の言葉。
『 いつまでも3人で 』END.