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テニスの王子様 短編集

第9章 COMPLEX!-巨の場合-(徳川カズヤ)


●COMPLEX!-巨の場合-(徳川カズヤ)●

女の子には、いろんな悩みがあるんです!

『うわ…また少し大きくなったかも…』

朝、着替えながら自室の全身鏡の前で今日も落胆する。
鏡の中に映る自分の胸にはあまりにも
立派すぎるものが二つくっ付いていた。
…それを一般的におっぱいと呼びます。

『はぁ…もうやだな…』

そう、私の悩みはこの立派すぎるおっぱい。
世間では羨ましがられる巨乳だが、いい事なんて全然ない。
肩は凝るし、太って見えるし、何よりまわりの人の視線が…

私の胸が大きくなってきたのは中学生になってからだった。
最初は胸が膨らんできて少し嬉しかった。
だけど、それからどんどん大きくなって…
特に学校での男子の視線が嫌で嫌で、
毎日学校に行くのが苦痛だった。
高校生となった今では、
サイズが小さめのブラを付けて胸を潰している。
苦しいけど、これで胸が少しでも小さく
見えるならなんてことはない。

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『おはよ~!カズヤ!』

通学路で私の彼氏である徳川カズヤの後ろ姿を発見。

『…、おはよう。』

普段から口数が少なく、クールな彼だが、
時に見せる優しい眼差しが堪らない。
ギャップ萌えというやつだ。

カズヤの隣を並んで歩く。
何気なく歩幅を合わせてくれているのが嬉しい。

『どうした、浮かない顔して。』

『…え…そんなに浮かない顔してた…?』

『はすぐに表情に出る。』

『え?そんな事ないよ~!!』

『今も上手く笑えていない。』

全てお見通しって事か…
カズヤには迂闊に隠し事も出来ないな。
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