第11章 妖怪妖かし物語/切原赤也 3/26更新
俺の首にゆっくりと腕を回して、にたりと笑う
血の色をしたくちびるが、動く
「お前は、上手そうじゃ……」
「へっ……?」
なに、コイツ……
俺を喰うつもりかよ!?
冗談じゃねぇよ
「いや。俺の肉、マジ硬いから!」
「にく……?ぷっ……ハハハ……」
突然、笑いだす
何なんだよ、一体
ワケ、わかんねーし
「笑い過ぎて、腹が痛いぞ。人間……くくっ……」
涙を流し、笑うコイツって何者なんだよ
つか、笑い過ぎじゃね?
指で涙を拭いながら
「人間……名は何と言う?」
尚も笑いが、収まっていないくせに
俺に名前を聞いてくる
「……赤也っすよ」
「赤也か……良い名じゃ。気にいったぞ」
ワケのわからないヤツに気に入られても
困るつうの
「アンタ、誰?何者なんだよ?」
「知りたいのか?」
「とーぜんじゃん」
「ちと、説明が難しい。赤也は、理解力が乏しそうだし」
何だよ、それ
まるで、俺が莫迦みたいじゃんかよ
「簡単に言ったら……妖怪の類……とでも言っておくか」
「妖怪!?」
妖怪って、アレか?
人間に危害を加えたり、喰ったり!?
俺……ヤバいよな?