第6章 歯磨き/柳生&仁王 3/20更新
丁寧に、一本、一本磨いていきます。
もちろん、歯茎も優しくマッサージ。
くすぐったいのか、照れているのか……
もしかしたら、両方かもしれませんが、頬を桜色に染める仁王くん。
「ひゅくぐっひゃい」
私の手首を掴み、止めてくれと瞳が、訴えてきます。
止めろと言われて、止められるわけないでしょう?
普段なら、絶対に有りえない事をしているんですから。
他人の口の中を自由に触るなんて。
妙な興奮が、私の下半身に集中しそうで。
紳士の仮面が、剥がれそうです。
「手を離したまえ、仁王くん」
眉間に、シワを寄せ恨めしそうに私を見つめられると、ちょっと意地悪な気分になってしまいますよ。
「まだ、終わってないんですからね。まーくん」
にっこりと微笑んだのに、パッと手を離す仁王くん。
彼は、私が『まーくん』と呼ぶのを嫌うんです。
私としては、気にいってるんですけどね。