第4章 戦国絵巻/跡部景吾 3/18更新
世は、戦国時代
男たちは、皆 天下統一への夢をみる
自分の領土を広げるために戦にと明け暮れる日々を送っているのだ
ここ、氷帝の国も例外ではない
隣国である青学の国との戦は、何年にも渡って行われている
戦いは、いよいよ最終局面を迎え、明日
氷帝の国を治めている殿様、跡部景吾も
戦場(いくさば)へと赴くコトとなる
「殿、どうかご無理をなさらぬように……」
満月が、美しい晩
今生の別れになるかも知れないと不安に
駆られるも、泣き言は決して口に出来ない
武士の家に嫁いだ者の心構えである
「心配は、無用だぜ。俺様を誰だと思ってるんだ?」
杯(さかずき)を口にしながら、愛おしい妻の肩を抱き寄せる
は、黙ったまま愛する夫の胸に顔を埋め、心臓の音を聞いていた
とくん
とくん
規則正しい音
その音を聞いているだけで、今は安心出来るのである