第36章 男は優しさ/樺地祟弘
大きな手のひらが、私の身体の隅々にふれてくる
それだけでも熱を帯びてしまうのに
指先で、唇で
私の身体を愛してくれる
「祟ちゃん……ぎゅっ……して……」
もっと愛されている事を実感したくて
強く抱きしめてほしいの
それに……
祟ちゃんの重さを感じたい……
「祟ちゃん……体重預けてよ……」
「……ダメ……です」
「どうして?」
「……重いから……」
「え?」
「さんが……潰れてしまい……ます」
困ったような笑顔に涙がでそうになる。
本当に大事にしてくれてるのが
わかる。
わかるからこそ、私もそれ以上
言えなくなってしまう
黙って首に腕を回すと
「さん……」
優しく響く祟ちゃんの声
「……好き……です」
「私もだよ……」
*Fin*