第27章 成仏しようか/幸村精市 4/16更新
「ふっ……んぐっ……」
喘ぎ声とも、泣き声ともとれる声を出し始める。
薄目を開けて、見てみると……
泣いている?
「どうしたのかな?」
「……怖い……です……」
「怖い……?」
「このまま……イクのが……怖い……」
俺にしがみつく。
そうか。
彼女の場合、イク=成仏だもんね。
「大丈夫だよ……」
安心させるように、優しく語りかける。
いつもの俺なら、そんな事しないと思うんだけど。
が、不安になっているような錯覚をおこしてしまっているのだろうか。
「成仏して、新しい恋を探すといいよ。」
「新しい……恋?」
「うん。今度は、本当に好きな人と……ねっ?」
俺の言葉に、すぐに納得したのか、満面の笑み。
「はいです……」
「うん。良い子だね……。イってきな……」
さよならのキスを交わす……