第27章 成仏しようか/幸村精市 4/16更新
固まった赤也をとりあえず……殴ってみるか。
左手を握り締め、勢いよく……
「うわっ! なんスっか?!」
ちっ!
赤也の奴。寸前で、気付きおって。
俺の腕が、宙をきったぞ。
つまらん。
“ね~。この人、私と同じ世界にくると思う?”
ブンちゃんに巻き付くれいちゃん。
きゃい きゃい 騒ぎながら、花ならぬ、火の玉をまき散らしとる。
あ~ブンちゃん。顔が、蒼いぜよ。
柳生が、慌てて鼻と口に貼りついたガムを取り始めた。
「ブン太のが、好みかい?」
幸村……目が、笑っとらんよ。
“う~ん? やっぱり、こっち~”
幸村に、巻き付くれいちゃん。
「うわっ! こ、これ……なんっスか?」
れいちゃんを指差す赤也。
体が、小刻みに震えちょるんじゃが。
“むぅ。こいつ、嫌い!”
ほっぺたを、ぷぅ~と膨らませて、幸村に、話かける。
「そうかい? からかうと面白いよ」
“面白いの? おもちゃ?”
「そうだよ。俺のおもちゃ」
おもちゃって……
まあ、その通りじゃが。幸村の……と言うより、みんなのおもちゃじゃ。
そのおもちゃ、赤也は……
柳生の後ろで、ガタガタと震えちょる。
「れいちゃん。赤也が、遊んで欲しがってるぜよ」
「うわっ!! 仁王先輩! 何言っちゃってるんスかっ!」
“遊んで~”
赤也へのもとへ、ふわふわ。
一方の赤也は、腰が抜けておるのか、這って逃げ始めとる。
さながら、鬼ごっこじゃな。