第27章 成仏しようか/幸村精市 4/16更新
仁王side
しかし……暑いのぅ。
こうも暑いとやる気がでん
練習もサボりたくなる
重い足取りで、いつも通りの道順を歩いていくんじゃが
夏休みなのに、朝練って……
勘弁してくれ
額にうっすらと汗。
テニスをしてかく汗なら、我慢も出来るが……
ただ歩いているだけの汗は、嫌いじゃ
このベタつき感が、どうにも許せん
そんなことを考えながら、部室のドアを開ける。
「おはようさん」
「やあ、仁王。おはよう。今日は、遅刻しなかったね」
朝から、爽やかな幸村の声を聞きながら、顔を上げると
!?
反射的にドアに張り付いてしまったぞ。
俺……寝ぼけてるんじゃろか?
いつもと変わらない笑みを浮かべる幸村。
「ゆ……幸村……。それ……なんじゃ?」
幸村の首に巻きついてる〔モノ〕を、指差す。
「えっ? 仁王にも〔視える〕のかい?」
知ってたんか。
背中から、嫌な汗が大量に吹き出す。
どう視ても……それ……
幸村の首に巻きついているモノ……
ふわふわと浮きながら
どこから、どうみても……女の子じゃ。
黒いロングヘアーに大きな瞳。頬をピンク色に染めて……というのが、あったら可愛い子じゃろうが、違うぞ。
青白い頬。透ける肌。
いや、存在自体透けちょる。
(どこぞのバスケ漫画の主人公か?)
にこやかに笑いながら、手をふる……こいつは……
「幽霊か?」