第1章 魅せられて／仁王雅治

まったく　もうっ！
１人　ぶちぶちと文句を云いながら
楽譜とにらめっこ。
えっ？
私が、何をやっているかって？

……楽譜の整理です。

場所は、音楽準備室

実は、私……音楽のテストで赤点をとってしまい
補習の代わりに楽譜の整理をする羽目になってしまったのですよ。

齋藤せんせー
日頃から、お片付けをちゃんとやってよね。
そうすれば、こんな面倒な事しなくてもすむんだから。

「よしっ。これがラスト……」

楽譜をすべて棚に仕舞い、音楽準備室を出ようとノブに手をかけ……

「…？」

音楽室に
誰か……いる…？

何やら
声が
ん”……？
耳をすませていると

「！？」

…女の子の……喘ぎ声？
えっ…！？
嘘でしょう！？
……今…まさに…
現在進行形で
やっちゃってる？
私、出れないじゃん。
音楽準備室の出入り口は、このドアひとつ

最悪～

ずるずると座り込む。

「あっ…あん…いく…イっちゃう～」

ひときわ、大きい声がして……

しばらくすると　人が出て行く気配…

はぁ～

やっと、出れる


一体、どこの誰なのよ
まったくもう！！