第23章 手塚国光の憂鬱/手塚国光 4/9更新
不思議な気持ちで占いの館を出て歩いていると
「ん?」
信号待ちをしている
声をかけるかどうか悩んでいると
視線に気付いたのか、振り返る
視線がバッチリと合ってしまい……
無視するわけにもいかず
「奇遇だな」
と声をかける
の腕の中には大きなカエルのぬいぐるみ
「ぬいぐるみ?」
女であるが持っているのは不思議ではないのだが……
見覚えのあるがあるのは気のせいだろうか
「あ……これは……ちょっと、ね?」
誤魔化すように笑う
それ以上追求しても仕方ない
【ありのままの姿を見せる】
不二の言葉を思いだす
なら、俺を受け入れてくれるのか?
横目で様子を伺うが……
大事そうに抱えているカエルがどうにも気になる
どこで見たのだろうか
思いだせそうで、思い出せない
これが、いわゆるモヤッと感なのだな
「これが、気になるの?」
「どこかで見た記憶があるのだが……」
「これは、私に勇気をもたらしてくれるラッキーアイテムなの」
真っ直ぐと俺の瞳を見据える
勇気をもたらす?
「国光くん……はっきりさせたいの」
「はっきりさせる……?」
「私のこと……どう思っているの?」
カエルのぬいぐるみを抱く指に力が入っていくのが、見てわかる
隠すのはやめよう。
「今から俺の家に来てくれ」