第20章 幸せな人生をありがとう/真田弦一郎4/4更新
「ねぇ……弦一郎さん」
「どうした?」
「私……アナタに出逢えて本当に幸せだったわ」
「俺もだ」
寝たきりで、自分の力では寝返りさえ出来なくなった愛する妻
そんな彼女の髪を空いている方の手で梳いていく
若い頃は、艶のある綺麗な黒髪
いまでは、その面影さえ残っていない
「私……また、アナタに逢いたいわ」
「俺も逢いたいぞ」
「弦一郎さん……」
「なんだ?」
「私……とっても……眠たい…わ……」
「そうか……なら、ゆっくりと休むといい」
「うん……弦一郎さん……あい……してる…」
ゆっくりと閉じられるまぶた
「俺もお前を愛してる」
ゆっくりと落ちていくの手
弦一郎の頬に一筋の涙が伝う
Fin