第20章 幸せな人生をありがとう/真田弦一郎4/4更新
病院の一室
今まさに人生の終わりを静かに待つ老婦人
彼女は、ベッドに横たわりながら、長年連れ添った老紳士を見つめていた
「弦一郎さん……」
震える手を差しだすとしっかりその手を握りしめる弦一郎
(シワが増えたな)
彼女の手のぬくもりを感じていると胸の奥が締め付けられ、目の奥に違和感を感じる
それは、少しでも気を緩めると涙となりそうになる
「アナタと出逢ってどのくらいたったのかしらね?」
「と出逢ってのは、中3の春だったな。同じクラスになって……」
「そうでしたね」
初めての出逢いに想いを寄せるの頬は緩み、穏やかな笑みとなる