第16章 壊れている世界/跡部景吾 3/31更新
「アタシのコト……愛してるわよね」
深海の底にいるような澱んだ瞳で、俺をみつめる
かつての光り輝いていた瞳じゃねえ
全ての光りを拒否したかのようだ
此処まで、追い込んだのは誰だ?
俺か?
お前自身が、望んだのか?
「ねえ……景吾……」
血まみれの手
制服には、大量の返り血
答えを待つの腕を引き寄せ、抱きしめる
「愛している」
抱きしめながら部室の周りを確認する
一番先に目に映ったのは、ジロー専用のハンモック
いつものように、ハンモックに身体を預け、寝ているように見える
が、その瞳は二度と開かれるコトは
無いだろう
血に染まったハンモック
『跡部ぇ……最近、の様子がおかしいC』
明るくて、起きている時は騒がしいジロー
でも、のコトが好きで、あいつのコトには、敏感に反応していたな
だから、の変化にも直ぐに気付いた
『俺、跡部とが、仲良くしているトコ観るの好きだから、ちゃんと守ってあげてね』
『当然だろう』
俺にしかを守れないと思っていた
莫迦な俺
すまねえ
ジロー、約束やぶっちまったな