第3章 レトルトで初恋
忘れられない人…
そんな人、俺にも居たっけなぁ。
チャンネル放送を終えてひとりで帰宅中。まだ寒くて吐いた息が白くなりますね。
レト「うーさむぅ~…」
今日やったゲームのせいか、中学の頃のことがずっとぐるぐるしてるし。
でも一番仲良くしてたやつのことが思い出せないんだよね、俺は誰と一緒に居たんだろうか。いやむしろ居なかったらどうしよう…
そんなこと考えてたらとっくに駅に着いていた。
レト「電車まだかな…」
このままホームに突っ立てたら凍え死にそう。
「ねぇ」
レト「!……は、はい」
ファン…?
だとまずいから目線を合わせないように。マスクってこの時期は水蒸気がえらいことになるから、外じゃしないんだよ。
にしても、馴れ馴れしいな…ねぇって。
「田中くんだよね?」
レト「えっ…」
な、なんで俺の本名知ってんすか…やだちょっと怖いんだけど。
でも間違ってないから恐る恐るその人の方を・・・向いてみたけど、全然知らない女の人。てか綺麗な人。
「あはは、やっぱりw」
こっちはちっとも分からないんですけど…!!!
レト「ど、どうも…」
「あれ、田中くんもしかして思い出せない?」
いや、確かにこんな人と知り合いだったらそりゃ嬉しいですけど。
「中学の時、仲良かったと思ってたんだけど」
レト「中学の時…?」
その言葉、今すごい気掛かりなんです。
レト「お、お名前は…?」
「木条真弓、覚えてない?」
木条真弓…真弓…