第6章 お試し
次の日、みんなの前でつくしが道明寺さんに謝ってた。
やはり花沢さんの方が好きでちゃんと付き合うことにしたって。
ごめんなさいと真摯に謝るつくし。
そのそばに花沢さん。
花沢さんも言葉少なに謝ってた。
私は結局寝不足で、この感傷的と思える展開にも気持ちがあまり入っていかなかった。
そんな私に道明寺さんがチラッと視線を送り、口元を緩める。
すっきりしてよく眠れたみたいな顔だな。
そりゃああなたはそうでしょうね。
昨日の話の続きがしたくてウズウズしてるのが手に取るように感じられた。
道「もう、いいってお前ら。
だがなもう一発ずつ殴らせろ。
このままじゃ気がすまねえ。」
西「ったく、司、やめとけよ。」
美「いや、総二郎、司の気の済むようにさせとけって。
その方が後腐れなくていいんじゃねえか。」
花「お好きなように」
つ「わかった」
そして、まず、花沢さんを拳で殴り吹っ飛ぶ花沢さん。
花「いてーー、司のパンチは重いよな。」
頬を撫でている。
でも手加減してるんだろな。
なんとなくわかった。
次に、ジロリとつくしを見る道明寺さん。
道「歯を食いしばれよ」
つ「うっ…」
右手を振り上げて平手打ち、かと思ったら、つくしの両頬を引っ張って変顔にしてた。
つ「ぬあにすんのよぉ、どおみょおじぃのばあかあ!!!」
道「へ、ドブスの間抜け面はおもしれえや。
ばーか。痴話喧嘩で女を殴れるかよ。
お前には何度も殴られたけどな。」
西「へえ?司、大人になったな。
なんかあったか?」
美「以前のお前なら俺たちをここに置き去りにして、一人でバックレてもおかしくないよな。
まあ、何にせよいいことだ。」
西門さんが私をチラッと見る。
西「まさかね。」
私を見て西門さんが何を思ったのかわからないし、分かりたくもなかったけど。
私はこういう決着のつけ方をした道明寺さんに少し心を動かされてた。
本当に物事を落ち着いて考えるようにしたんだな。
道「うっせーんだよ、てめえらは。じゃあ、帰るぞ!」
プライベートジェットとはいえ機内は広く、帰りは皆がそれぞれ離れて座ってた。
西門さんと美作さんカップルはもちろんだけど、つくしと花沢さんも隣同士で座ってるのには驚いた。
昨日の今日なのにね。
となると私のところには道明寺さんがやって来た。
で、結局隣に座った。
