第10章 もう一度 @ 岩泉一
『わたし、受験やめることにしたんだ。』
「…!?は!?」
岩泉は飲んでいたミネラルウォーターを吹き出した。
『…美容師の専門学校行くんだ!喧嘩して、思ってること全部言ってやった!』
「…いつの話?」
『三ヶ月前くらいかなぁ…一ちゃんに言おうと思ってたんだけど、確か部活忙しそうでやめたんだっけ…。』
「お前元マネなんだから全然来いよ…。」
笑いながら喋る2人。
ふと花が口を開く。
『…わたしはまだ、一ちゃんが好きだよ。自分から振っておいてなんだけど、今日の試合も一ちゃんばっか観てた。』
空いている右手に、岩泉の左手が触れる。
「…俺も好きだ。ありがとな。」
これが及川の策略だったことを知ったのはこれから一週間後のお話。