第17章 お誕生日おめでとう @ 及川徹
『お誕生日、おめでとうございます。』
腕の中で、花は及川に袋を差し出した。
及川が嬉しそうに中身を開けると、ラップに包まれたパンが入っている。
「…パン?」
『及川さん好きな…牛乳パン作ってみました。』
照れ臭そうに言う彼女が可愛くて、及川は思わず笑ってしまう。
『ちょ…なんで笑うんです!?』
「ごめんごめん、ありがとう、嬉しい。」
『まだ入ってるんですけど…』
そう言われて及川は袋の中に手を突っ込んだ。
出てきたのはリストバンド。
青葉城西のユニフォームの色をしたそのリストバンドには、及川の背番号の1が縫い付けてある。
「…ありがとう、俺の可愛い花さん。」
『…大好きです、及川さん。』
「今日くらい下の名前で呼んでくれない?」
『…徹さん、大好き。』
その声や匂いがとても愛おしく、思わず口元が緩む及川であった。