第16章 天の川 @ 孤爪研磨
だんだん声を上げるのに疲れてきた花は、大人しく研磨の持つ傘の中に入って、空を見上げた。
『織姫と彦星って、こんな雨の日でも会ってるのかな?』
「どうだろうね。」
研磨の視線はゲームに送られたままだ。
『1年に1回しか逢えないなんて可哀想。寂しい。』
「意外とSky◯eで喋ってるかもよ?」
『やめてよ…現代的なこと言うのやめよ…』
研磨は少し笑いながら、画面の敵を指でタップし続けた。
『でも、わたしは研磨と毎日逢えてるから、全然さみしくないなー…』
突然ゲームオーバーの文字が現れた。
研磨は下を向いて固まったままだ。
『研磨?ゲームオーバーだよ?』
「うるさいよ…なんでそういうこと言うの…」
花は自分が何を口走ったのか、全く見当がつかないようで、首をちょこんと傾げた。
「…鈍感。ばか。」
『ばか!?ひどい!!』
気づけば雨はすっかり上がっていて、綺麗な天の川が広がっていた。