第16章 天の川 @ 孤爪研磨
「星が綺麗に見える場所がある。」
研磨が珍しく花を誘ってくれたので、七夕の夜にその丘に向かった。
最初は雲もあまり見られなかったのだが、だんだん月や星は雲に隠れ、終いには小雨が降る始末。
『あーもう!なんで雨なのー!』
「花が雨女だからじゃない…?」
研磨がそれらしいことを言うので、花の表情も空のように曇っていく。
「冗談だって。仕方ないよ。」
芸人顔負けの変顔を見た研磨は、プッと吹き出してスマホを手に取った。
『…今から雨止めって言ったら止むかな?』
「それで止んだらアップルパイ買ってあげるよ。」
『ほんと!?止めー!雨止めー!!』
「うるさいよ…」
研磨は呆れ顔でスマホのゲームに視線を落とした。