第1章 クロユリ
「……あれ?私……。」
どうしてこんな所にいるのだろうと、瀬河聖夜【せがわのえる】は辺りを見回した。
確か今日はバレー部は休みだから当然マネージャーの仕事もなく、帰って家の花屋を手伝ってたハズ……。
なのにどうして知らない学校へといるのだろう。
学校から帰り、手伝いをするまでに何があったっけと一生懸命思い返す。
いつも通り学校から家に着くまでは何もなく、家に着いて店に出てからは何人かお客さんが来て、お母さんと一緒に接客をしていた。
結婚記念日に奥さんに贈る花を買いにきた男性。
プロポーズに薔薇の花を買いにきた男性。
おばあちゃんの誕生日プレゼントにお花を買いにきた親子。
そして……
_____の花をお願いしていた_____ですけど。
女性の声が聖夜の頭の中に不気味に響いた途端、急激な頭痛に襲われ、立っているのも辛い程に頭を抱えたままその場に膝から崩れ落ち、意識を手離した。
クロユリをお願いしていた_____ですけど。
あの人は誰なのだろうか。
*NEXT*
花言葉:クロユリ【呪い】